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連載

不動の動 その三十二 こま撮りは不滅だ

2022/3/16
◯公開コマ撮りって大道芸?!
 2002年、当時TYOのプロデューサーだった松本さんから「今度、写美で絵コンテを展示する企画があるんだけど、合田さんの作品をこま撮りの撮影現場ごと展示したいと思っていて、アニメーターをやってもらえます?」という電話が入った。
私は(ついにStop Motion Animation撮影を一般の人たちに見てもらえる機会が訪れた、チャンス到来!少しでもこま撮りの面白さを伝えられればいいな)と思い、ノリノリでOKした。
 こまねこ公開撮影展示は写真美術館の一角を仕切り外光が入ってこないスペースを確保し、そのスペースに人形、セット、撮影機材を持ち込みセッティングをしたのだが、これではどこからも撮影する様子を見ることができない。
そこで壁に20センチほどの丸い穴をあけて撮影風景を見学してもらうことにした。
大人から子供まで身長差がかなりあるので、上は1.6m下は50cmくらいの差をつけて外光の影響がない程度にたくさんの穴をあけて見てもらえるように工夫したのだ。
丸穴から覗かれている感覚はすぐに慣れて、1ヶ月間の撮影は普段の撮影とあまり変わりなく淡々と進んで行った。小さい子供が突然穴から顔を出し一瞬ギョッ!とすることはあったが(笑)

壁に穴を開けてそこから中の様子を見学する。


ドワーフに入社後は、合田さんの講演とコンビを組み国内各地いろんな場所で公開コマ撮りの実演をやるようになった。
国内だけでなく、元プロデューサーの前坂さんと共に国際交流基金の招きでアメリカのコロラドスプリングス、シカゴ、ミルウォーキーの各大学(意外にもStop Motion Animationがそれほど知られていない)を周り、日本のアニメ業界の話とセットでコマ撮りの実演をやった。
 1人旅ではあるが同じこまねこを使いデンマークのヴィボーアニメフェス、フランスのランスで行われたフェスティバルで実演を行った。デンマークでは子供たちの反応がすごくて、リクエストに応えてジャンプをやったりとこちらも一緒になって楽しんで大道芸人の喜び(笑)を感じた。

デンマークViborgアニメフェス、子供たちに大人気だったこまちゃんのこま撮り実演。


イギリスでは合田さんの講演とセットで、どーもくんを使いロンドンとアードマンの本拠地ブリストルのアニメフェス、カーディフ在住の石井英子さんが主催するこたつアニメフェスで、こま撮りの実演をやってきた。
フランスではこまねこ(こまちゃんのことを知っている人は日本より多い)、イギリスではどーもくんの人気があるのだ。
(短時間でのアニメートでどれだけ見る人たちを楽しませることができるか?)なんて色々考えながら楽しんで作業するのだが、これはもうアニメ大道芸人といえるかもしれない・・・
これからは合田さんとコンビを組み日本各地へ『こま撮りアニメワークショップ』行脚をやることが一つの夢。
美味しいものが食べられて温泉が近くにあるってのが条件だけど。(笑)


ランスでは街の中の小さな劇場でもこま撮り実演をやった。



ブリストルの講演会場



アードマンスタジオ訪問。1番右側が、紹介してくれた石井英子さん。


カーディフこたつ映画祭。主催者の石井英子さんとともにこたつで寛ぐ。


こま撮り実演はデカイ大人ばかり。「本場によう殴り込みをかけたな・・・」的雰囲気だった(笑)


○こま撮りは不滅だ!
 Stop Motion Animation 、日本語でこま撮りと言われる技法は映画創世記からあって、一コマ一コマFilmに画を焼き付けてゆくやり方は昔も今も変わっていない。(今はFilmではなくデータだが)
いわばごはんやパンみたいなもの。古くならないのだ。
21世紀、デジタル一眼レフカメラとパソコンとドラゴンフレームは若者達が簡単に高品質のStop Motion Animation作品を創れる環境を生み出した。実際に世界中の若者が高レベルの作品を作っている。これは素晴らしいことだ。
 いにしえの優秀なイギリスのアニメーターが「今どきの若いアニメーターはモニターばかり見ていて人形を見ない。モニターを見ながらでは良いアニメーションができない。」と嘆いていたが、私はそうは思わない。人形をしっかり見つめながら一コマずつ動かすだけではない、別のアニメート方法が出てきたのだ。
例えるなら、2Dアニメーションと同じやり方といえば分かりやすい。
平面のアニメーションは最初の1枚を下絵にして上に半透過したレイヤーを置き下絵を見ながら次のポーズを描いて行く。ドラゴンフレームでのこま撮りは、最初のポーズを1コマ撮影したらモニターでその撮った画像と次に撮るカメラからの映像を見比べながらポーズを決めてゆく。もちろん半透過させながらでもできる(オニオンスキン)。
2Dのやり方が立体の映像に変わっただけなのだ。
 デジタル技術を最大限利用して作業する方が速いし合理的。人形と対峙してアニメートをすることなく同等のこま撮り作品ができる。アニメートのやり方を選べる時代になったのだ。
方法論や技法は時代とともに変化して行く。どのように撮影されたものであれ出来上がった作品が全てだ。良い作品、面白いものが出来ればいいのだ。
 
 小さな子供がスマートフォンの無料こま撮りアプリ(Stop Motion Studioなど)を使って、大人顔負けのすごい作品を作りSNSにあげたりするようになった。
ついにこま撮り時代が来たのだ!

 私はアニメートをする作品に対して常に100%を超えるパフォーマンスで臨むようにしている。自らの体を使う役者ではなく動かしている人形が感情表現をすることになるせいなのか、何割かのパワーを人形が吸い取ってしまう感じがするからだ。(不思議・・・)
それなのに、必死に感情を込めてアニメートしてもつまらないものになってしまうときがある。力一杯でアニメするだけではなく、アニメ心に遊びが入らないと動きが生き生きしてこないのだ
アニメートに集中しながら心は遊んでいるときに面白いアニメができるのだと思う。
次に目をキラキラ輝かせてアニメートに没頭するのはいつになるのだろうか。
これからもお楽しみは尽きない・・・(ワクワク)

『ジャスパー』のまばたき。
その動きに魅せられて、峰岸少年はアニメーターへの道を志すことになった。
これまで、岡本忠成氏の元で作品に携わり、日本を代表する人形アニメーション作家、川本喜八郎氏に師事。同氏の作品の撮影でチェコのトルンカスタジオで働いたことも。
現在もドワーフで、合田経郎とともに「どーもくん」「こまねこ」「まくまくん」シリーズなど、数多くの作品を手がけている。

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