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連載

不動の動 その三十一 こま撮りのこと

2022/3/2
◯王様の映画
 Stop Motion Animation作品の事を私は『王様の映画』と呼んでいる。なぜなら実写は人や物や空や自然がそこに存在するのでカメラを回せば写すことがきるが、こま撮りはキャラクターから石ころまで全てのものを作り出してから撮影することになる。こんなことは王様以外にはやれない。こま撮りはめちゃくちゃお金がかかる映像なのだ。
しかし、莫大な費用と時間がかかる割にはニッチなメディアの部類に入れられてマイナーなイメージを抱く人が多い・・・。

 子供の頃は毎日NHKの人形劇をテレビので見ていて『チロリン村とクルミの木』が大好きだった。
しかしテレビ放映でのStop Motion Animation作品は皆無、ましてや劇場用の人形アニメーションは18歳になるまで観たことがなかった。私が6歳くらいの頃にテレビで観たアメリカの作品『ジャスパー』が鮮烈に脳裏に焼き付くはずだ。
ごく稀に1967年放映【コメットさん】、1973年放映【魔神ハンター ミツルギ】で実写の中に合成された人形アニメ(アニメは中村武雄さん、真賀理文子さん)があったが、他に目にするこま撮りは【ミツワ石鹸】(1957年~、なんと川本師匠の仕事)や【シスコーン坊や】(1963年、アニメは真賀理さん)などのCM映像だけだった。
 テレビで放映される人形劇や漫画映画(アニメ)は子供だましと言われる時代が続き、低予算、短期間で面白いものを作らなければならない日本の映像業界では、時間とお金がたくさん必要な『こま撮りだけ』で作る作品はできなかったのだろう・・・そう、『王様がいない国』なのだ。
 幼少期に身近なテレビや映画でこま撮り作品を見ないで育つことは、大人になっても興味が湧かないことに繋がる要因のひとつだ。1970年代のイギリスでは毎朝こま撮り作品が複数放映されていて、子供達はそれを観ながら朝食を食べ育つのだから大人になってもこま撮り作品の面白さを忘れない。ひとつの文化として吸収している。イギリスでたくさんのこま撮り作品が作り続けられているのは、子供の頃から親しんでいることが大きな要素になっているのではないだろうか。
2018年、マイク・モートさんが制作した1時間29分の長編作品【Chuck Steel NIght of the Trampires 】(日本未公開)は大富豪のポケットマネーで作られた。さすがUK!『王様がいる』のだ。

 
 


Chuck Steel を作ったANIMORTALスタジオ。コロナ感染が爆発した時に撮影が終わっていたスタジオを臨時の病院として使ったそうな。



右から3番目がマイク・モートさん。社長からアニメーターまでやっていた。


○まずは知ってもらわなきゃ!
 20歳のころから日本でのこま撮りの認知度の低さに危機感を抱いていた私は、とにかくこま撮りの認知度をあげて国民の皆さまにその面白さを知ってもらいStop Motion Animationを一部のニッチな人たちのものから誰でも知っているアニメの技法にするべく方法を思案する毎日を送っていた(ホントか?!笑)
そして、1998年に「どーもくん」をやるようになって(この作品はNHKで放映されるから、たくさんの人たちにこま撮りを観てもらえる良い機会になるのでは?!)と感じたのだった。
実際はNHK【BS】の衛星放送だったため、認知度が上がるにはかなりの時間を要したが・・・

 余談だが『どーもくん』の放映が始まった頃、こま撮りとして観て欲しいのにCGで作っていると言い出す人が出てきた。なぜだろう?と考えると、1秒間30フレームレートの1コマ撮りによる再生画像のスムーズさがCGのように見えているのではないかと思えた。
一般的にアニメはカクカク動くものという固定概念があるので、滑らかに動く人形の姿は知っている言葉の中でCGに結びついたのかもしれない。
 撮影する時のフレームレートは作品の内容に合わせて決めるのが1番良いことだと思うのだが、1秒間のフレーム数による動きの変化は未だ神秘的なままだ・・・



2005年【どーものこそだて】を撮ったとき。


そんなこんなから2003年の冬に目黒の写真美術館で行われた「絵コンテの宇宙展」での『こまねこ公開撮影展示』に繋がって行く。



写真美術館前にてスタッフ一同。

つづく・・・
 
『ジャスパー』のまばたき。
その動きに魅せられて、峰岸少年はアニメーターへの道を志すことになった。
これまで、岡本忠成氏の元で作品に携わり、日本を代表する人形アニメーション作家、川本喜八郎氏に師事。同氏の作品の撮影でチェコのトルンカスタジオで働いたことも。
現在もドワーフで、合田経郎とともに「どーもくん」「こまねこ」「まくまくん」シリーズなど、数多くの作品を手がけている。

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