こま撮り会員制ファンクラブ
dwarf²(ドワドワ)

こま撮り会員制ファンクラブ dwarf²(ドワドワ) こま撮り会員制ファンクラブ
dwarf²(ドワドワ)

連載

『どーもくん「誕生」篇 30秒』

2021/4/29

時は1998年。
自分はCMの制作会社でディレクターとして、得意技を探しているような感じでした。 このコンテはどーもくんの最初のコンテであり、自分が描いた最初のこま撮りのコンテで もあります。
絵が下手っぴで恥ずかしいけど、絵コンテは世に出ないのでいいのです。

いわゆる「実写」の撮影なら、30秒を作るのに30秒以上撮影して編集で30秒にしていく けど、コマ撮りは、きっちりの秒数しか撮れないよ、と聞き、かなり緊張しました。
ストップウォッチを握りしめ、動きをイメージしてスタート、ストップ。3秒。 もう一度同じイメージでスタート、ストップ。あれ?4秒だ。
もう一度、スタート、ストップ。2秒とちょっと・・・。
もう一度。もう一度。もう一度。
やり方は、今も変わらないけど、このコンテはカットの長さはもちろん、その中の動きな ど一番細かく秒数を計算しました。
アニメーターの峰岸さんと仕事をしたのもここから。 美術の家辺さん、人形の阿彦さんとも初めて。
皆さんからは、誇り高き職人オーラが漂いまくっていて、頑固親父の寿司屋で1対1という ような、びびりながら絵コンテの説明をしました。

撮影は3日間。
時間がないのに照明で悩んで、こっちを明るく、こっちは暗く、もう少し柔らかく、影を小さく、ここだけ明るく、やっぱこ っちは暗く、あーだこーだとお願いしまくりで、アニメートの時間はどんどん削られてい って、毎日日付を越える撮影になりました。

最終日のやっぱり深夜。アニメート中の峰岸さんがアシスタントのとき子さんに聞いた。
「あと何コマ?」「あと3コマです」 え?
おかしい。
あと1秒あるはずなのに。

何度コンテを見返しても1秒足らない。
どうしよう・・・まじか・・・頑固親父の機嫌を損ねたのか・・・。
恐る恐る峰岸さんに聞いてみたら、なんと峰岸さんが間違えていた。
く~、何度も何度も計ったのに。
しかし、カットのラストをのばしてもらったら、 あれれ?なんだかいい感じ。
ああ、すべてがちょうどいい。
峰岸さんのアニメは、実にちょうどよかったのです。
それ以来、自分の秒数計算はどんどんざっくりになっていき、細かいところはアニメータ ーさんに任せるのが良い!という結論になりました。
それにしても、あれ以来、何個のストップウォッチをダメにしてきたことか。 ストップウォッチの神様ごめんなさい。



*どーもくん「誕生」篇は、NHKのどーもくんミュージアムで視聴できます。見てみてください。
合田経郎(ごうだつねお)
ディレクター/キャラクターデザイナー/dwarf代表/絵本なんかも描いてます。
CMディレクターをしていたが、1999年「どーもくん」を作ったことから、キャラクターやこま撮りの道へ。
ロバもいる、スーパー楽しく、スーパー凄いスタジオを作ることを夢見て日々活動中です。
「どーもくん」「こまねこ」「モリモリ島のモーグとペロル」などなど。

この担当者の最新連載